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い―ちゃんの鉄柵? を読んでくださった方コメントくださった方はどうもです。 ダラダラと次の投下がいつになるのかわからず続くのもどうかと思い、本番にいく前に終わらせましたが、中途半端申し訳ないです。 喫茶店は昼時を過ぎてかガラガラ。客はぼくらだけ。 ふたり分の注文を適当に済ませてから、その人は改めてぼくを見る。 表情は笑っているし、多分そうなのだろうが、いまいちぼくには、彼女が本当に愉しんでいるのかどうかの自信が持てなかった。 あの最悪の島では彼女に散々に振り回されている。 それはいまだって。こうして目の前にしているいまだって何も変わらない。 「きみも頑固だな。何もしないと言っているのに。緊張するのは自由だが、そろそろ警戒は解いてくれないか?」 玖渚の部屋で再会を果たしてはいるが、この人とこうして話しているのは、やはりどこか妙な感じだった。 幽霊。 と。ぼくは今のこの人にそんな印象があるが、それはいまも拭えない。 「あのときの真相はきみだって知ってるだろうに。人様の脳を食するなんて趣味は、いくらスタイルがないとはいっても御免こうむるよ」 まだ。まだいまのところは。園山赤音を名乗る天才は、にっこりと微笑を深くする。 「それを聞いて安心しましたよ」 ぼくの方はといえば、少したりとも笑わなかった。 店に入ってからずっと同じ表情。得意だったはずなのに、最近はとかく見破られがちのポーカーフェイスである。 「でも確か。次に会うときは哀川潤になってるって、赤音さん言ってませんでしたか?」 「ふぅ。まったくきみの記憶力は、相変わらずどういう基準でバックアップを取っているのかよくわからんな。つまらん事を覚えてる」 赤音さんは『やれやれ』といったように首を振った。そういえばあの島でも、この仕草は何度か見たなぁ。 だがそんなことは覚えていても、もっと大事なことを『覚える』のを『忘れる』ということを、ぼくの脳は忘れない。 そんな禅問答みたいな構造は、あの島で初めて会ったときから、なんら変わってはいなかった。――――――――欠陥製品。 「ま。わざわざ呼び出しておいて、いまさら繕っても仕方ないから言ってしまうが…………要はまだ自信がないのだよ」 「自信? 何のです?」 そう訊いて置きながら、ぼくの中では、もうすでに答えは出ていた。赤音さんの現在欲しがる自信など決まっている。 「哀川潤に成り代わる自信……………………いや、確信かな。なにしろさすがは『死色の真紅』だ。情報が圧倒的に少なくてね」 なるほど。なるほど。それはまぁそうだろう。 あの人はあっち側の世界ではトップクラスどころか、他の追随を許さないぶっちぎりトップの有名人だろうが。ふむ。 哀川潤と聞いて思い浮かべるあれこれ。 赤き征裁、死色の真紅、砂漠の鷹、鬼殺し、なによりもっともベタでポピュラーなのに人類最強の請負人と、数々の異名があるものの、 やはり身内でなければそれ以上は中々調べられないだろう。 なるほど。なるほど。そこで一応は請負人の身内であるぼくに、赤音さんは白羽の矢を突き立てたということか。 「でもぼくだって。あんまり教えてあげられる情報はないと思いますよ」 身内に甘いとか、漫画好きとか、他人をやたら過大評価するとか、平気の平左で人を騙すとか、精々がそんなものだ。 ぼく如きのしがない戯言遣いでは、とてもではないがあの人は語れない。 「いやいやいや。別に哀川潤の恥ずかしい私生活を教えてくれとか、決してそういうことではない」 当たり前。そんなの知ってしまったら、それこそ記憶を飛ばされるまで殴られるに決まってる。 「リハーサル、といったところかな? 近くで哀川潤を見てきたきみに、わたしの哀川潤を少し見てもらいたいんだ」 「………………はぁ……まぁ……いいですけど…………」 そんなんでいいのか? モノマネの練習じゃないんだぞ! ん?。ん~~~~?。ああ、だからか。そう考えればリハーサルしておきたい気持ちもわからなくはない。 本番で似てなかったら客のブーイング程度では済まないだろう。それはそれは命懸けのモノマネだ。失敗は即ち死を意味する。 「たとえばだねぇ――――」 「!?」 「哀川潤はこんなことを、きみにしたりはするのかな?」 「しませんよ、するわけないでしょ」 テーブルの下で赤音さんの長い足が、そんな素振りはなかったのに、いつの間に靴を脱いでいたのか、ぼくの股間に当てられていた。 「わたしの集めた情報だと、哀川潤は大層な悪戯好きらしいじゃないか。このくらいするだろ?」 言いながら足の裏で、グニグニとぼくの股間を赤音さんは刺激してくる。 テーブルの上では両の指を組んで、顎を乗せてぼくの一挙手一投足を、観察でもするように目を光らせて窺っていた。 「しませんてば」 「でも、きみはされたいと思っている?」 足の親指だけ立てると、なぜ頭の方は鈍感と人に言われているのに、こうまでこっちの方は敏感なのか、ぼくの言い訳も利かないほど パンパンに膨らんでいる股間、勃起の裏筋を上から下へ、下から上へと、赤音さんは毛筆で刷ける様に丁寧に撫で擦る。 ぼくに向けられる視線が、段々と獲物を苛める猫の様なものに変わってきていた。 なんかこんなとこは哀川さんに似てるかもしんない。 しかしそれは弱い者を弄ぶというよりは、『頑張れ頑張れもっと頑張れ頑張れるだろ』そんな感じだ。 だが言われなくとも、応援されずとも、この《戯言遣い》の、それこそスタイルを捨ててでも頑張るつもりである。 そうしないと帰りはえらいことになりそうだ。この歳でズボンを濡らして後ろ指差されるのは、いくらなんでもさすがに厭過ぎる。 みいこさんにでも見られたたら、ぼくはきっと彼女の日本刀を奪って腹切りも辞さない。 「死ぬるべき時節には死ぬがよく候、だよ。成長したのは認めるが、我慢はよくない」 こちらの気持ちを知ってか知らずか(多分知ってる)赤音さんの足の指は器用に、ジ~~ッと音をさせてズボンのジッパーを降ろした。 ひたりと直接ぼくの牡器官に、赤音さんのストッキング越しの足が押し付けられる。 テーブルの下では一体どんな格好になっているのか、両足でもってしっかりとぼくの勃起を挟んで、激しくシゴキはじめた。 「んぎぐああああぁっぁぁぁぁ……ぁあああああああっ!!」」 鴨川の土手で壊人に身体を好き放題弄繰り回されたときのような、自分でも思う聞き苦しい悲鳴がぼくの口から洩れる。 あのときのような、京都中に轟けという様な大きな声ではなかったが、隣りに人がいたらきっとビビッたはずだ。 そしてぼくの背中にも、ビビッと快感が走る。もちろん駄洒落が言いたかったわけじゃない。 自分でするときよりもずっと性急な動きに、ぼくは中身の入っているカップを、零しそうな勢いでテーブルに突っ伏した。 脱力する。その意味は、自分の口からは言いたくない。 脳裏に蘇る『あなたは一度死んだ方がいい』無口メイドから初めて掛けられたセリフ。お願いします。どうか殺してください。 「うふふふ。…………前にも言ったが、きみが女だったらよかったのにな」 それ。あのときも気にはなっていたんですけど。それは赤音さんの趣味でしょうか? それとも幽霊さんの方ですか? 赤音さんは訊けばおそらく答えてくれるだろう。 だがそんなのはどちらでもいいし、だいたいからぼくは、そんなどうでもいいことを質問出来る状態ではない。 「――――まあいいだろう。きみもひとりになりたいだろうから、これでわたしはお暇するよ。ありがとう。いくらか役に立った」 本当ですかと訊きたくなったが、そんなわけもない。欠陥製品の《戯言遣い》は気を遣われてしまいましたとさ。めでたしめでたし。 「それじゃあ………………また………」 音もなく、それこそ幽霊のように気配が消える。それでもしばらくぼくは動かなかった。 五分、いや十分、もしかしたら三十分かもしれない。ぼくは携帯を出すと、メモリーの一番最初をプッシュする。 「お――っす! い――っちゃん! 今日も僕様ちゃんのこと愛してるっ!!」 「…………友、大事な話しがある」 言いながらぼくは考えた。 この広い世界で、玖渚機関にこんな隠蔽を頼むのはぼくだけだと。それでも玖渚友は、ぼくの知ってる玖渚友は笑って許すだろう。 そこまで考えてぼくは呟く。 「戯言だよな」 いつもどおりに。しかしこれ。本当に便利な言葉だなぁ。 終わり 戻る
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――今日はクリスマスイブ。 「ひ・た・ぎ♪」 「こ・よ・み♪」 ――あれ、忍どうしたんだろ? ミスドで一杯おみやげ買ってきたのに。 「……あるじ様よ、それだけ見せつけられては、もうお腹いっぱいじゃ!」 戻る
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「師匠、今日が何の日だかわかるですかー?」 部屋に入ってくるや否や、姫ちゃんがイキナリ質問してきた。 「ヤセル・アラファトがパレスチナ解放機構議長に任命された日?」 「違うデスよー、そんなマニアックな日じゃなくてもっと基本的な日です!」 「大岡越前の日?それともジュディ・オングの日?」 「むぅ、師匠ー、分かってて化けてるですね」 バレタか。ちなみに訂正しとくとボケてる、ね。 「そんな訳でししょー、ちょっと目を潰してもらいたいのです」 「……?」 瞑って、なんだろうなぁ。 とりあえず言われたとおりにぼくは目を瞑る。 当然ながら何も見えず、そして何も聞こえない。 「姫ちゃん?」 「……」 暗闇に向かって声をかけるが返事が無い。 ほんのさっきまでそこに居たのだから、返事が出来ないってことはないだろう。 何か驚かそうって魂胆だな。小ざかしい手を。 浅はかなところが姫ちゃんらしいと言えば姫ちゃんらしいけど、大人しく引っかかった不利をして──むにゃ 「目を開けてもいいですよ、師匠」 妙な感触があってから、姫ちゃんの声が聞こえてきた。 ぼくはゆっくりと目を開けて、状況を確認する。 「……えと」 確かぼくは自分の家に居たはずだ。 あのおんぼろアパートに。 なのに今居る場所は何処か見知らぬ土手だった。 「空間製作?」 「そんな感じですぅ」 次に気がついたのはぼくは何故か仮面をつけていることだ。 「これは?」 「師匠はそれを付けないと駄目なんですよ。じゃないと連れ出されちゃうです!」 仮面、それともお面なのか、まぁ縁日で良くある安物だろう。 口元をなぞって見ると、口の部分は開いているために 狐さんの仮面じゃないことだけは確認できたが、何の仮面なのかは分からなかった。 「ねえ姫ちゃ── 振り返ると今まで居たはずの姫ちゃんの姿はもうなかった。 代わりに、遠い昔に見覚えのある少女が、意思に腰掛けて悩んでいた。 ぼくは髪のきれいな少女に声をかけた。 「ねぇ、君は──」 「どうしても上手くいかないんです、どんなに策を積み重ねても、 どんなに策を積み上げても、あの人に崩されてしまいます」 少女は僕に気がついていないのか、そんな独り言をつぶやいていた。 ……電波系って奴か。 経験上、余り関係を持ちたくないけど、こう言うのに限って縁があるんだよなぁ。 などと、自分のことを棚にあげつつもその場を通り過ぎる。 通り過ぎて川を渡ろうと思ったとき、何かに引っ張られた。 「うおっと」 イキナリズボンの裾を引っ張られたため姿勢を崩したが、 体を捻って両手を先に地面につけて直撃だけは避ける。 むにゅ、っとまた不思議な感触が唇に。 さっきと似てるようでちょっと弾力が違う…… 目を開けると、先ほどの少女を押し倒す形になった。 否、押し倒していた。 しかも口と口とがぶつかる最こ、最悪の形で。 暖かくて、気持ちがいい、じゃっ、じゃなくって 「ご、ごめん」 慌てて顔を離して謝る。 「い、いきなり何をするんですか!」 ぼくは姫ちゃんの忠告を忘れて、仮面を外してしまう。 そうすることでぼくは大事なことを思い出す、大切なことを思い出した。 目の前にいる少女は、既に死んでいるはずだ。 じゃあ何で生きてる? 「あーあ、外しちゃったですか、それ」 後ろから声がする。 その声は間違いなく姫ちゃんの声だし、 そこに立っているのは紛れも無く姫ちゃんだ。 だけど、彼女もまた、もうこの世には居ないはず。 「ちょっと早いけどお別れです」 「姫ちゃん?」 「本当はこの後、色々とお話しようと思ってたですが、残念です」 姫ちゃんがくいっ、っと指を曲げる。 ただそれだけの動作で、ヒュンッ、と言う音がするだけで黒髪の少女が分断される。 まるであの日の出来事を、そのまま再生したように、彼女は輪切りにされる。 あたり一面に咲き乱れる花が少女の血で真っ赤に染まる、赤い花も更に赤く、紅く染まっていく。 「ほんと師匠は約束を守らないですね、仕方ない人です」 今度は指だけじゃなく、腕を上げ、そして降ろした。 見えない糸がヒュンッ、っと音を立ててぼくは反射的に身構えてしまう。 斬刀と等しいくらいの絶対的な切れ味を誇る極限糸、 それに対して身構えたところで何の意味も無いことは分かっている。だけど、反射ばかりはどうにもならない。 糸はぼくの肌を裂き、肉を切る。 そしてヒュパッ、ドスン、っと何かが切れ落ちる音が聞こえる。 「え?」 振り返るとそこに居たのは見ず知らずのサラリーマン風の男性、だった物が一つ。 いや、いくつものパーツに分割されているから一つではないが。 「さぁ師匠、師匠が行くべきところに戻るのです」 「ひ、姫ちゃんも一緒に戻ろう」 「駄目ですよ、姫にはやらなきゃいけないことがあるんです。 だから、師匠、ここは──」 駄目だ姫ちゃん、それを言ってはいけない、その言葉だけは 「ここは姫ちゃんに任せて、後に戻ってください!」 「……分かったよ、姫ちゃん」 ぼくはもと来た方向へ、姫ちゃんの横を通り過ぎて、ポツンと立っている扉へと走る。 後ろで抗議の声が聞こえるけど、姫ちゃんなら大丈夫だろう。 時折流れ糸が足元の花を薙がれたりするけど気にしない。 兎に角走った。わき目も振らず一心不乱に走り、扉にたどり着く。 そして扉をこじ開けてふたたび走る。 延々と続く回廊を、何処が上か下か、時間が分からなくなるくらいに走る。走る走る歩く走る走る。 そして出口らしきものを通り抜けると今度は視界が光に遮られる。 「うおっ!まぶしっ!」 目が覚めるとそこはみなれた病室だった。 らぶみさんの話によればトラックに跳ねられそうになった所を運よく通りかかった絵本さんの乗用車に跳ねられたそうだ。 「ご、ごめんね、いっくん。いっくんが跳ねられそうだったから、つい私も」 故意じゃねえか、おい。 っと突っ込まずに、絵本さんを許すことにした。 即死の重症を瀕死の重傷にしたのが彼女なら、それをまた治療したのが彼女だから怒るわけには行かない。 結果的には助かったのだから、結果良ければ全てよし。 誰も死んでない、ぼくだけが傷ついたのだから何も問題はない。 病室にはたくさんの花が届けられている。 菊に百合に椿にシクラメン、それから鉢植えのサボテンや花環まで色とりどりなラインナップ。 ぼくが如何に多種多様な人に愛されているから分かる数少ない一面だ。 「いーちゃん、大丈夫?」 「ああ、大丈夫だよ、友」 心配そうに友が覗きこんでくる。 「友、2月3日は何の日だか分かる?」 夢で姫ちゃんに聞かれた質問を、友に聞いてみた。 「んー、オーソドックスに行くなら節分だね。 豆まいたりお菓子撒いたり魚を飾ったりして遊ぶ日」 「ふむ」 「いーちゃんって節分の由来って知ってる?」 「えっと、季節の分かれ目だっけ。春と冬の」 「そう、じゃぁ冬と春が何の季節の象徴って分かる?」 「何のって、そりゃ」 「うん、死せる季節と生ける季節だね。節分はその狭間に当たるって言われてて、コレと良く似た場所があるよね」 「……」 「いーちゃんはきっとそこに行ってきたんだよ。所謂臨死体験って奴?ふゅー、さすがいーちゃん、僕様ちゃんができないことをやってのけるっ!」 友はぼくに馬乗りになって楽しそうに話す。 「そっか、それじゃ勿体無いことしちゃったな」 正直なところ、子荻ちゃんとはまた話し会いたかった。 素直なところ、姫ちゃんとまたふざけ会いたかった。 だけど、一番会いたかった彼女には合えなかった。 生まれて直ぐに分かれ、ぼくを本名で呼んだ彼女に。 「いーちゃん、どうしたの」 「どうもしないよ、友」 ぼくは青い髪の少女をギュっと抱き寄せる。 「いーちゃん?」 「友、愛してる」 「僕様ちゃんもだよ、いーちゃん」 The nightmare is continued. 戻る
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「動けるようになるまで、幸せな気分でいなさいな。」 「なあ、戦場ヶ原、おまえ、下着は???」 「あら、ごめんなさい。お風呂に入ろうとしたところで、あなたが封筒を忘れていったことに気が付いたのよ。どおりで涼しいと思ったわ。」 僕は戦場ヶ原の内腿から一滴の液体が伝っているのに気が付いた。 「阿良々木君、阿良々木君、私、少し困ったことになりそうだわ。」 「えっ?」 「だって、このままうちに帰ってもなかなか眠つけそうに無いわ。」 じゃあ、手伝わないといけないかな? 戻る
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“プルルルル…………ピッ” ワンコール目で出やがった。 絶対に電話が掛かってくるのが、最近凄い勢いで増え始めたぼくの数いる天敵の序列二位、あの最悪の魔女はわかっていたんだろ。 もちろん一位は真姫さんがいなくなったいま、ぼくの恩師であるところの、中学生で成長が止まっている解剖マニアだ。 「おまえだろ、いらん知恵つけたのは」 前置きなどない。ぼくらの間にそんなものはいらない。 「なに? あたしの名前知らね~~~の? 残念だが知ってるよ、七々見奈波つぅ~~んだろ。それより崩子ちゃんに………うッ!?」 七々見の決めゼリフを、適当に流して言おうとしたぼくの口上は、ねっとりと這う生温かい感触に遮られた。 通話口を押さえて視線を下に向けると、上目づかいの崩子ちゃんと目が合う。 まだ多分にあどけなさの残る可愛い顔。だけど将来の美人が約束されている顔だ。 血を塗ったように鮮やかな、紅い唇からのばされた舌が、丁寧に甲斐甲斐しく這い回っている。――――――ぼくの勃起に。 「お兄ちゃん、こんなのはダメでしょうか?」 先走りの液でぬるぬるになっている勃起に、崩子ちゃんは嫌な顔一つせずに指を絡めると、乙女の祈りみたいなポーズで、亀頭の裏筋を れろ~~んと、ぼくの視線を充分に意識しながら舐め上げた。 キャンディーっていうのは、言い得て絶妙だな。ぺろぺろと美味しそうに舐めている。上目づかいは忘れない。 「いや………うぉッ………ダ、ダメでは………んッ……け、決して…………くぅん……………な……なな………七々見奈波ッ!!」 放って置いたら一体なにを叫びそうになるのか。怖くなったぼくは、その衝動を代替行為で電話口の、元凶である魔女にぶつける。 “ツーーーーツーーーーツーーーーツーーーー” あの野郎。切ってやがった。この間僅か二、三十秒。少なくとも一分は経ってないはずだ。なのにあっさりと切りやがった。 世界は自分を中心に回っていると、信じて疑った事は、きっとないのだろう。 「はぁうッ!?」 などとどうでもいい事を考えている間も、崩子ちゃんの熱の篭もった口唇愛撫は無論続けられていて、顔を傾けるとハーモニカみたいに 勃起にチュッチュッと吸い付きながら、唇を行ったり来たり上下させていた。 「うぁッ………は……くぅんッ……ああッ…………」 やつめ。なんつぅー事を年端もいかない少女に教えてやがるんだ。 「ンあぁッ……はぅッ……んンッ……ぅああッ!!」 崩子ちゃんは口を大きく開けると、ぼくの勃起をぱくりと咥え込む。 でも崩子ちゃんの小さな口では、それほどのサイズでないぼくの勃起でも、先端をしゃぶるのが精一杯のようだ。 んくぅんくぅと、赤ん坊が哺乳瓶からミルクを飲むみたいに吸い付いている。すげぇ気持ちいい――――by想影真心。 七々見に感謝しそうになってる自分が、ぼくは心底気持ち悪くなるくらい嫌になる。 実際本当に崩子ちゃんにこんな事を止めさせたければ、ぼくが一言命令するだけで済むのだ。闇口にとって主人の言葉は絶対である。 なのに七々見の所為にしてして、見苦しい責任逃れをしようとは、最悪、否、ぼくは最低だろう。 「ちょっ……お……ンッ……あッ………はぁッ……ン……んふぁ…………うぁッ!!」 まぁ、それはそれとしてだ。 満足にはぼくのスタンダードサイズの勃起すら、収める事の出来ない崩子ちゃんの口内だが、やっぱり闇口の名は伊達ではない。 真空状態になってるんではなかろうか。 小さい身体なのに崩子ちゃんの吸引力はすさまじく、ずずっ……じゅる……と、少女の口元からするにははしたない音が立つ度に、 ぼくの勃起には痛みを伴うほどの快感が、それこそすげぇ勢いで全身を走っている。 「あッ、ほ、崩子ちゃ……ああッ……も……やば……もう……ダメッ…………くぁッ!!」 この少女には格好よろしくないところは、もう結構な数見られてはいるが、その中でもいまの情けなさはハイエンドクラスだろう。 ぼくの普段よりトーンの上がっている切羽詰った声に、勘の鋭い崩子ちゃんは、経験はなくともセンスの良さをみせて、自然と小刻みな 頭の振りを速くしていた。 おかっぱの黒髪がちょこちょこと、可愛く揺れているのを見下ろしながら、 「んぶッ!?……こふッ…えふッ……んンッ………ふぅ……むぅッ……んむぅ……………」 崩子ちゃんの口唇の中で、自分勝手な欲望を盛大に解き放つ。知識としてではなく経験として、初めての穢れをその口内に味あわせた。 「……………………………」 やちまったな戯言遣い。そんな思いが半分。しかし残り半分に達成感があったりして、ほんと自分が嫌になる。 「ごほッ、えはぁッ、………ご、ごめんなさい…………えふッ…………お兄ちゃん……………」 健気にもぼくの出した精液を嚥下しようとした崩子ちゃんだが、飲み切れずにボトボトと手に落としてしまっている姿が可愛かった。 チャームポイントの紅い唇も、ぼくので白く汚されている。 「お兄ちゃん………次は…………次はちゃんと全部飲みますから…………だから…………だからわたしを見捨てないでください」 涙目で訴えてくる崩子ちゃんだが。う~~~~ん。七々見のやつ。どんな偏った情報を植えつけてくれてるんだ。…………素直に感謝。 ぼくの勃起にまた力が、ぎゅんぎゅんと漲ってくる。ああ、わかったよ。認めてやる。ぼくはペド野郎だ。 「可愛い可愛いぼくの……ぼくだけの崩子ちゃんを見捨てるなんて、そんなのあるわけないだろ」 「お兄ちゃん…………」 肌の色が元々、白すぎるくらい白いのでよく目立つ。 おかっぱの黒髪をなでなでしてやると、顔が耳まで一気にカァーーッと染まっていた。 クールな崩子ちゃんにしては、珍しい年頃の少女みたいな反応。だが戯言であるはずのぼくだって随分と珍しい。 少女に誓った言葉には、欠片すら戯言はなかった。 終わり 戻る
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場所――自宅の風呂! 登場人物――僕、月火! 概略――全裸の僕と全裸の月火ちゃん! へた暗喩陽喩を使って状況をつたえるよりも、よっぽどわかりやすいと自負する。わかったよね、今の状況。 「本当、お兄ちゃんの趣味って特殊だよね。変態って言葉が陳腐にきこえるくらい、変態だよね」 月火はためいき交じりにそういって、握っていた僕の局部を指先ですりあげる。阿良々木家のお風呂場で繰り広げられている変態行為といえば、まあある程度事実を示している。僕は全裸で座高の低いお風呂イスに座り、月火は僕の股の間にひざまずいていた。 もちろん全裸で。 髪をあらったわけではないので、しっとりと濡れた月火の黒髪は、いまつきあいのある女の子のなかで一番長い。月火は自覚していない「しでのとり」の特性から、あっという間に髪が伸びてしまう。具体的には肩胛骨と腰の中間に毛先がくるくらいまで伸びている、月火の髪。昔の戦場ヶ原と同じくらい。 火憐のリクエストなのか、まわりのファイヤーシスターズ・ファンの要望によるものなのかはわからないが、月火は伸びた髪をアップにしたり、ポニーテイルにしたりすることが多くなった。 これがまた月火の着る和服と相性が良く、なまっちろくも色っぽいうなじのおかげで、ファイヤーシスターズのファンが増えたとか、増えなかったとか。 ともかく三ヶ月ほどのスパンを経てファイヤーシスターズにポニーテイルが復活していた。 だけど、これからはじめてもらう行為を欲したのは僕だが、実行する権限は月火にあることだけは、あらかじめ明らかにしておきたい。 誰に対しての弁明なのか、僕自身もわからないけれども、月火はそんな言い訳の間にも僕の局部を刺激するのをわすれない。 「実の妹にこんなことをさせるんだからさ。変態暦ってよばれても文句はいえないよねー」 「実の兄にクンニされてよがってたのはおまえだろ……やってることは五十歩百歩だ」 「まあこっちも好きでやってるんだし、文句はいわないけどさ。エッチしたい気分じゃないし」 「そのあたりの感覚は、中学生が持つ感覚じゃないんだけどな……」 今日は気分がむかないからエッチしない――とかさ。 どれだけ情事に慣れてきてんだよ。大人の女性の、さらにその先にあってしかるべき感覚だと思うんだけど……。 「んじゃ、はじめるね……お兄ちゃん……」 局部から十センチくらい手前で顔をとめた月火は、 月火は背中にはりついていた髪をすくい上げ、毛筆の先のようにまとめあげる。その先端を僕の局部に近づける。 先走りの液とお湯で濡れたカサに――髪の毛がふれた。 「うおっ……」 いままで経験のない感触に、おもわず腰が浮いた。 舌や指とは全くちがう。なで回される感覚とでもいうのか。 月火は目をまるくした。 「お兄ちゃん。やっぱりエッチだよね。妹の髪の毛で感じちゃうなんて……」 「つ、月火ちゃんだってさっきお尻で感じてたろ! おあいこだ、おあいこ」 「口ではなにをいってもいいけどねー」 「お前のその余裕はどこからくるんだ」 「だっていまは、こっちの番だし、せっかくやるなら気持ちよくなってもらいたいしね」 今度は毛先を尿道に沿って上下させる。固く膨らんだ尿道はそのわずかなにさえも反応する。想像以上の心地よさだ。ふれるか、ふれないかの刺激。期待する部分に刺激はこなくて、まったく予想していなかった部分が刺激されたりする。特に裏スジのあたりに毛先があたると、僕の意志とは関係なく、局部がびくびくと反応し、尿道口から透明な液を分泌させた。 口では余裕ぶっている月火でも、初めての試みには緊張するらしい。 さっきよりも顔が前のめりに、すなわち僕の局部に顔をよせてしまっている。局部を倒せば、月火の顔にあたってしまうくらい、近くに。 興奮気味の息づかいが局部に当たった。 「ん、ちょっと難しい、かも……大丈夫? 気持ちいい?」 「あ、ああ……大丈夫。気持ちいいよ、月火ちゃん……」 正直、答えるのが精一杯だ。 僕の反応に気をよくしたのか、月火は空いた手を玉袋にのばしてくる。皺だらけの玉袋を月火の手のひらが優しく包む。中の精巣をほぐすように揉まれる。 男性として大切すぎるところを犯されている快感に僕の背筋が震えた。 「お兄ちゃん……予想外にかわいい……」 上目遣いの月火がなにか萌えるものを見つけたかのように、目をとろけさせていた。 忘れていた。 月火はドSだった。そして今の目は獲物を見つけたときの目に違いない。 「この辺りとか、どうなのかな……」 一度髪をつかみ直した月火は、今度は局部の先端で毛先を動かしはじめる。 「う、あ……」 これは決定打だ。性感帯が集中する先端を毛先の柔らかさをもってなで回される。痛いほどの性感を亀頭に感じた。未だになで回されている玉袋の内側――海面帯に一気に血がそそがれ、局部の最大値を更新しはじめる。 「髪の先がお兄ちゃんので、べとべとだよ……」 月火の言うとおり。局部を愛でていた毛先は水なんかよりもよっぽど粘性を帯びた液体で濡れ、月火が指でおさえていなくても、まるで墨汁をすった毛筆のようにまとまっている。 月火の一部が僕を犯している。背徳感を上回る、快感につられ――。 「つ、月火ちゃん……お願いが……」 「んぁ?」 「舌も……使ってくれるとうれしいな」 「……」 月火が唇をとがらせた。 「あのね、お兄ちゃん。お兄ちゃんが髪の毛で犯してほしいって、泣いて頼むから、やってんのにさぁ――それじゃあァ、ただのフェラチオだよね?」 切れる一歩手前のテンションが、口調に現れていた。 最近おとなしいからわすれていた。 阿良々木月火は、ヒステリッカーだったということを。 いきなり険を増す月火の声音にびびり、ここは下手にでることにする。 「あ、いや、もちろん月火がよければの話だけど――髪の毛も十分、こそばゆくって気持ちいいんだけど」 なにせ、男性のなによりも大切な部位は月火の手のひらの中にある。つぶされでもしたら大変だ。 すると下手にでたのが聞いたのか、ぶうたれたまま、月火は、 「……まあいいけど」 と言った。 いいのかよ。 まさかの逆転無罪――。 やわらかい感触が裏スジのあたりに押しつけられた。 ちゅるっ、と吸われる。 童顔の月火がそれをしてくれる禁忌感と背徳感はすさまじく、悲鳴をあげるところだった。 「ちゅ……フェラチオしながら、髪の毛もつかってあげる……。お兄ちゃんをうそつきにさせたくないからねー」 「ど、どうやって……」 「ん、と……こうかな」 月火は髪の一房を局部にまきつけはじめた。つりに使うリールのようにくるくると巻き付け、それを握った。 月火の髪が巻き付いている――。 月火の一部で、普段は決してよごれない髪――。女の命ともよばれる美しく、普段はふれがたい神聖さすらかんじさせるものが。僕の局部に巻きついて汚れている。 汚れさせてはいけないものを、汚してしまえる、快感。 普段汚せないものを、大切にされているものを汚す、子供のいたずらにも似た、でも幼いときから身につけている、完成したものを汚す快感は――。 じょり、じょり、じょり。 音をさせながら月火は指を上下させた。 あっというまに、先走りの液とまざりあい、髪全体がぬめりけを帯びててらてら光る。局部をつつむ髪は指以上に、細かく、性感をなでまわす。 月火はまるでとどめをさすかのように、亀頭を桜色の唇の中に含んだ。 「――! ――! ――!」 気持ちよすぎて声にならない。物理的にも、精神的にも犯されている感じ。 「う、ひ、あ――!?」 「じゅるっ、じゅるっ……お兄ちゃんの、どんどん出てくる……」 唾液の糸をひかせ、先端から口をはなす月火は、今度は顔を斜めにして、尿道の膨らみに舌をはわせる。 髪のぬめりに、月火の唾液も混ざる。 僕の反応を見ていた月火は、いつのまにか目をうるませていた。呼吸もさっきより甘く、激しい。 興奮している。 「はぁ、はぁ、はぁ、お兄ちゃん……」 耐えきれない、といった風情で玉袋においていた手を離した月火は、その手を自分の股に導いていく。 月火の下半身から、ちゅく……と音が聞こえた。 角度のせいでよく見えないけど今の音から察するに、自慰行為におよび始めたらしい。 「んっ、おっ、お兄ちゃん、かわいすぎ……なんでそんなに欲しそうな顔、んぁっ、してるのかな……?」 「月火ちゃん、んっ、お前、自分で……?」 「だ、だってしかたない! お兄ちゃんがあんまり気持ちよさそうだったから……や、ん……」 頬がとろけ、目がとろけ、月火の顔がとろけだした。 エロかった。果てしなく、エロかった。 だが、徐々に自分のほうに夢中になってしまった月火の手と、舌の動きがじれったいものになる。 「月火ちゃん……だ、だんだん、動きが……」 「あっ……ごめんなさい」 そんなふうに謝ってから、月火は元のペースで手と舌の動きを再開する。 「んちゅ、あぁっ、んっ! ぺろ……」 が、やはりしばらくすると、ペースが落ちる。自慰の方に夢中になってしまう。 射精したいのに、後一歩が足りない感じ――。生殺しだった。 しかもときどき正気にもどって、僕を刺激しだすから始末に負えない。 そんなことが何度もつづき、射精への焦燥感ばかりが募ってしまって、 「月火ちゃん、ごめん!」 そう言って僕はおもわず、片手で月火ちゃんの髪と手をつつみこんでいた。 「はへっ!?」 おどろくのも、当たり前。だが、僕の暴挙 はそれだけではおさまらず、目をみはる月火の後頭部をむりやり局部によせ、局部を口にふくませた――。 もう、鬼畜っていわれても、なにも反論できないよ。 ただ、もう鬼畜でもいいかなとか思っている僕もいた。 「むふっ!?」 無理矢理ふくまされ、非難の目線を浴びせてくる月火の口から、毒舌や文句が出てくることはなかった。 小さな唇には僕の大きな局部がものの見事にはまっている――。 「ごめんっ、月火ちゃん、ごめんっ」 「むふっ、むふぅ――!?」 月火の手と髪をまきこんだまま、僕は局部をしごく。亀頭しゃぶってもらっているだけで気持ちよかった。 「んんぅ――、んんぅ――、んんぅ――!」 いきぐるしさか、局部を口からおしだそうとする月火の舌がつっつくように刺激を与えてくる。 「もうちょっと、もうちょっとだから――」 「ん、んんっ! んっ!」 涙目で首を横にふるう月火の顔は羞恥でまっかだった。 心のそこから月火にあやまりながら、気持ちよさにまかせて、月火の手汗と唾液と僕の体液がからみに絡んだ髪をまきこみ、局部をしごく。 「んんっ、んっ、んん――――!」 「出すよ――月火ちゃんっ!」 「んんっ――――!?」 限界はあっという間だった。 局部が勝手にはねあがり、精液を尿道口から吐き出す。 口中射精――。局部を引き抜いている暇はなかった。 ごぷぅ、ごぷぅ、ごぷぅ! 「ん、んっ、ぷは――!」 耐えかねた月火が口をはなす。精気はものすごい勢いで吹き出し続けた。自然、発射口のすぐ近くにいた月火は、白濁液をもろにかぶってしまった。 ごふぅ、ごぶぅ、ごぶぅ 顔に、髪に、局部をにぎっている手に、幼い乳房に、白いものがふりかかっていく。 生殺しにされ、たまりにたまったそれらは、自分でもおどろくほど長く、吐き出されつづけた。 「ごほっ、ごほっ……。すごい……」 ごふぅ、ごふぅ、ごふぅ…… せき込みつつ、月火が素直に言った。 たしかにすごいの一言だ。すごい――えろい。 体のあちこちに白濁液――精液をはりつかせた月火の姿はなんというか、すごかった。 月火が局部から手を離し、巻き付いていた髪をほどいた。 巻き付いていた部分はなんだかすごいことになっていた。すくなくとも月火の唾液、僕の体液が絡みつき、まだらになった髪をみた月火は、 「ふう」 と、本日二回目のため息をはいた。 そして月火は、体にひっついた液体を指先でさらいながらこう言った。 「さあ、お兄ちゃん。罪の数をかぞえようか」 死刑判決どころか必殺判決でした。 それ食らって生きていられる自信はないわ。 「……ごめん」 「お兄ちゃん。こっちは罪の数をかぞえろって言ってるんだけど。このまま全裸でコンビニまで行って、ガイアメモリ買ってきちゃうけどいいかな?」 「いや、本当、マジでごめんなさい!」 コンビニにガイアメモリなんて売ってね絵よというツッコミは封印した(実際は食玩として売っているかもしれないけど)。 そんな格好で外なんてでられたら、阿良々木暦は社会的に殺される――。 本当にそのまま風呂ドアを開けはなちかねないいきおいの月火を抱きしめた。 生臭い、臭い。 そして生臭くしてしまったのは、僕だった! 「わるかった、本当にごめん」 「はぁ……あやまればなんでも許されるとおもっちゃってるよね、お兄ちゃんは。そんな風に育てたつもりないんだけどな。髪だけじゃなくておっぱいにも……無理矢理、口とか……口の中ァ苦くって夕飯たべられなくなっちゃうよ……」 うるせえよ。 こんな場面でもなければぶっとばしてるぞ、おい。 とはいえ、今回は全面的に僕が悪い――。だまって月火を抱きしめ続ける。 「それにお兄ちゃん。ごめんなさいっていうのは、言葉だけじゃなくて、行動でもしめさないといけないと思わない?」 「ぐ、具体的には……」 月火はにやりと、唇をゆがませる。 「自慰が、途中だから……いいたいこと、わかるかな」 「……はい」 僕は月火を風呂マットに押し倒して、月火への愛撫をはじめた。 唾液と精液と汗で汚れた指先で、淫核にふれた。 ちゃん、ちゃん――。 「髪、ちゃんと洗ってよねー。ちょっとでも残ってるとべたべただから」 「はいはい」 完全に主導権をもって行かれた僕は、いつぞやの忍のように月火の髪をあらっていた。 月火に風呂イスを譲って、両手で髪をはさみ、シャンプーを泡立てる。 これだけの長さと量があると、一度あらうのにもずいぶん大変そうだ。 でも月火の髪はこれからも伸び続ける。 月火が怪異を内包する以上、これは一生つきまとう問題なんだろうけど。 「そういえば月火ちゃん。なんでいきなり髪をのばしてんだ? いつもこまめに変えてたけど、ここまでのばしたのは初めてじゃない?」 「ん? お兄ちゃんが好きそうだったから」 「はっ?」 あんまりにもさらっと言われたので聞き返してしまう。 「お兄ちゃんの財布の中の写真、火憐ちゃんと見ちゃったから、さ」 火憐ちゃんがすぅごく後悔してたよ――。髪きっちゃったこと――。 言ったきり、月火は黙ってしまった。 そんな妹の心中がよくわからず、首をかしげながら僕は月火の髪を洗いつづけた。 僕の新しい財布には、髪の長かった頃の戦場ヶ原の写真が挟まっている――。 え――? 戻る
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「兄ちゃん」 「お兄ちゃん」 僕が勉強していると妹二人が部屋に入ってきた。 いつもなら『またか』と思うところだけども、やたら声が真面目なのが気になる。 少し耳を傾けてみよう。 「どうした、二人揃って」 僕は促してみたけど、何やら言いにくそうでモジモジとしている。 珍しい、というより不気味ですらあった。 しばらくして月火が意を決したように言葉を発する。 「今日、用があって隣町に出かけたの」 いつもの正義ごっこか、と思ったけど僕は茶化さずに続きを待つ。 火憐が言葉を繋ぐ。 「そしたらあの男に会ったんだ。貝木ってやつ」 「!」 何だと!? 確かにこの町は出てるけどさ! 「何か……されたのか?」 「ううん」 二人ともかぶりを振ったのでとりあえず一安心しておく。 「ちょっと……話を聞いただけ」 一体何の話をだ? 火憐の蜂のことか? 月火の不死鳥のことか? それとも僕のことだろうか? まさか洗いざらい喋っちゃいないだろうが…………。 「そこで洗いざらい話してもらった。怪異のこととかあたし達のこととか」 貝木いいいぃぃぃ!! どこまで僕に迷惑なやつなんだお前は! 「やっぱり……本当のことなんだね」 月火が僕の顔色を窺ってため息のように台詞を吐く。 仕方ない、覚悟を決めよう。 「今まで黙ってて悪かった。でも僕はお前達を巻き込みたくなくて」 「兄ちゃん、あたし達は別に怒ってるわけじゃないんだ」 火憐が僕の言葉を遮る。 「あたし達、兄ちゃんのことをちょっと軽く見ていた」 「でも、お兄ちゃんはずっとずっと私たちを守っててくれてたんだよね」 まあ、僕は兄だしな。 妹を守るのは当然のことだ。 「やっぱり……兄ちゃんは格好良いよ」 「私たち、お兄ちゃんの妹で良かった」 まさかこいつら妹にこんなことを言われる時が来ようとは。 にやけそうになる顔を我慢して言葉を返す。 「ありがとう。じゃ、僕は勉強の続きが……」 「あたし達じゃこんなことくらいしか出来ないけど」 「お礼くらいはさせて、お兄ちゃん」 突然二人とも脱ぎ始めた。 待て待て! お前達の思考回路はどうなっているんだ!? 感謝の表し方なんていくらでもあるだろ! 暴力を振るわないとか暴言を吐かないとか! だけど妹二人はあっという間に全裸になってしまった。 一応大事なところは手で隠しているのが逆にエロい。 「兄ちゃん……」 「お兄ちゃん……」 戻る
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「お話があります」 いつものように勉強のために向かった民倉荘で、戦場ヶ原は開口一番そういった。 いつものように、といっても今日は休日だというのに平日と同じ時間、昼間はなにか用事があったとかで空も暗くなった頃、 という意味ではいつもと違うのだが、むしろいつもと違うのはそこではない。 忍に血を与えてきた直後で、感覚が鋭敏になっているとか、そういうのも些細な問題だ。 「・・・はい」 正座する戦場ヶ原の前に、逃げたいのに逃げられない、まるで怪異に魅入られたかのように正座する僕。 一見すると毒舌を吐いている普段より大人しいかに見える戦場ヶ原は、明らかにこれからの攻撃に備えた伏線だ。 何だ?何がばれた?八九寺との逢瀬か?神原のマッシュポテトに興奮したこと? それとも中学生の手ぶらブルマー?ああくそ、心当たりが多すぎる! おちつけ、おちついて考えろ、戦場ヶ原への情報ソースということは八九寺の情報が伝わることはないだろう。 とするとやはり神原絡みか? 「今日、羽川さんと」 羽川!まさかその名前が出てくるとは思わなかった!あの羽川が告げ口なんて・・・ いや、僕が羽川に告げ口をさせてしまうほどの粗相をしたというのか?そん な、羽川の前では常に紳士的な態度を心がけてきたというのに。 「オーディオコメンタリーを収録してきました」 「はい?」 着いて最初の言葉を繰り返してしまった。 「DVDorブルーレイに収録するオーディオコメンタリーよ。作中キャラによるものだから キャラクターコメンタリーとも言うらしいわ」 「それはわかってるよ!でもそれをSSに持ち込むなよ!メタにもほどがあるだろ!」 メタメタである。 ちなみにコメンタリー内で視聴者に向かって呼びかける分には、 相手が見ているのがどちらかわからないのでDVDorブルーレイでいいが、 収録する分には両方に収録されるので、DVD&ブルーレイと言うのが正しいだろう。 「そんな細かいことはどうでもいいのよ。それよりも1話冒頭、私と出会う前の春休みの事件ダイジェストが流れたのだけれど」 春休み――そうか、知ってしまったのか。 べつに隠していたわけではない。ただ、できることなら戦場ヶ原には、もうこれ以上怪異に関わらない、普通の人生を歩んで欲しかった。 いや、言い訳は止めよう。怪異もどきの僕と付き合っている限り、そして、僕が忍と共に生きる以上、怪異と関わらないなどというのは誤魔化しなのだ。 「阿良々木君が話してくれるまで、聞かなくてもいいと思っていたわ。でも、彼女として、どうしても聞かずに置くわけにはいかないことだと解ったの」 確かに、戦場ヶ原には聞く権利がある。今も僕の影に潜み続ける怪異のことを・・・ 「羽川さんのおっぱいを揉んだでしょう」 「はい?」 「やっぱり揉んだのね!」 「ちょ!違!今のは質問が理解の範疇を超えていたことに対する感嘆詞であって肯定の意味は無い!」 この女、一瞬の間に左手で僕の後頭部を押さえ込み、右手で躊躇無くシャーペンを眼球に向けてきやがった! いや、それだけなら前にもやられているし、その言葉は正確ではない。前回はこちらが反応する間も無く寸止めだったが、 今回は僕がその手を掴まなければ確実に刺さっている勢いだった!前回の経験と、 血を吸われた直後で吸血鬼能力が高まっていること、どちらが欠けても間に合わなかっただろう。ありがとう忍。 ちなみに「はい?」というのが感嘆符かどうかは国語の成績が悪い僕には自信が無い。 「言い訳は止めなさい、私ははっきりと見たのよ」 戦場ヶ原は右手一本だというのに、僕は両手で押さえて拮抗させるのがやっとだ。 筋力は再生能力ほど強化されてないとはいえ、結構筋肉質になってるんだぜ僕。 戦場ヶ原は病弱少女ではないにしろ、普通の、むしろ細い女の腕だというのに。 「何を誤解したのか知らないが、僕は羽川のおっぱいには指一本触れちゃいない!」 これは本当。確かに羽川からは、それはもう僕の口からはとても言えない様な赤裸々な言葉でその許可を頂いたが、 紳士な僕は丁重に、自分を大事にするよう伝えたのだ。 「見苦しいわよ阿良々木君。私は見たと言ったの。羽川さんの背後から忍び寄るいやらしい魔手を」 「そ、それはギロチンカッターの手じゃないかな?ハリネズミみたいな髪型で神父風の奴いなかった?あいつ羽川を人質にとったんだよ」 うん。死人のことを悪く言いたくはないが、あいつがいやらしい手段をとったのは事実だからな。 声が揺れているのは、戦場ヶ原の手と押し合って力が入っているからである。 「私が阿良々木君のいやらしい手を見間違えると思っているのかしら。あんないやらしい手は阿良々木君しかいないわ」 シャーペンを持つ手の力は全く揺るぐ気配が無い!つかそんなに確信を持って言われるなんてどんだけいやらしい手つきなんだよ僕! 「あああ確かにその手は僕だ!でも揉んじゃいない!」 「ノーブラの羽川さんが覚悟を決めている背後から、葛飾北斎の描いた蛸のように欲望にまみれた手を伸ばしておいて、どの口がほざくのかしら」 北斎の蛸はそんなにいやらしいのか?実物は見たこと無いんだ、僕。 それはともかく 「ああ確かに羽川は覚悟を決めてたよ!言質をとるために淫語も言わせて、顔を見ながらだとやりづらいから後ろを向いてもらって手を伸ばしたさ! でも触れなかったんだ!だってそうだろ?羽川は2年以上の高校生活でやっと得た当時ただ一人の大切な友人で、 命を救う以上のことをしてくれた恩人なんだ、触れるわけ無いじゃないか!」 「・・・女にあそこまでさせておきながら?」 「そりゃもう土下座して謝ったさ!調子に乗って羽川の優しさに甘えてしまったけど、おかげで目が覚めたんだ! こんな形で胸を揉んだら一生後悔するって!」 ごめんなさい。本当はそうなんです。 「どうやら、嘘をついているわけではないようね」 シャーペンを持った手が引く。 「わかってくれたか」 「阿良々木君がこの上なくチキンだということが解ったわ」 羽川にも言われたよ。今の戦場ヶ原が優しいとさえ思える声音で。 「淫語を言わせたというのは看過できないけれど」 う、勢いでスルーされるかと期待したけれどしっかり聞きとがめれらた。なんでわざわざあんなこと言っちゃったんだ僕。 「それと、女の子の手首を掴むときはもっと力の加減を考えた方がいいわよ。 最初に忍野さんのところに連れて行ってくれたときも、童貞なりに私を気遣ってくれたつもりなのだろうけれど、内出血するかと思ったわ」 ついさっきまで僕が抑えていた右手首をさすりながら言う戦場ヶ原。いや今回は僕の眼球がかかってたし? 「それはそれとして」 正座にもどる戦場ヶ原。 「もう一つお話があります」 姿勢も話も、振り出しに戻った。まあこれから話す内容は違うんだろうが・・・ 「私のおっぱいを触ったでしょう」 「はい?」 繰り返しギャグは3回までと決まっているのに、4回目をやってしまった。いや、最初のはまだギャグじゃないから、これが3回目か? 「やっぱり触っていたのね」 「いやだからこれは肯定の意味じゃない!」 少し違ったがあんまり変わってなかった。 まあ戦場ヶ原の態度は大分違う。シャーペンで刺そうとはしてこないが、こちらを見つめたまま、微動だにせず、 いや微かに震えている?表情はいつもの鉄面皮で読めないけど、怒ってらっしゃる? 「つーかおまえ自身の胸なら触ったらわかるだろ!」 僕にはツンデレの彼女から気づかれず胸を触ったり、怪異の女王から気づかれずに心臓を抜き取るようなスキルは無い。 「あのときは緊急事態だったから、そこまで気が回らなかったのよ」 「あのときってどのときだよ」 貞操観念の高いお前がそこに気を回さないような緊急事態ってどんなだ。ていうかそんな嬉しい経験があったらお前が忘れても僕は忘れないぞ。 「最初に助けてもらったとき、階段から落ちて阿良々木君が受け止めてくれたときよ」 そう、僕と戦場ヶ原との最初の出会いは・・・いや、出会いというなら1年から同じクラスなわけで入学時点で顔は知っているわけだが、 言葉を交し合うきっかけになったのは、階段から落ちてくる戦場ヶ原を僕が受け止めたことだった。 いまどきバナナの皮で足を滑らせるという、ギャグ漫画でもやらないような彼女の失態から、 僕は彼女の抱える問題を知り、その解決(一概に解決したとは言い切れるものではないが、それはひとつの決着だった)に立ち会った。 そしていま、僕たちは彼氏彼女の関係として、恋人同士として、付き合っている。 「あのときは、ラピュタ王家の末裔のように降りてきた私を、阿良々木君がお姫様抱っこで受け止めてくれたわけだけれど」 妙に美化した(のか?)言い方をするな。こっちまで恥ずかしくなる。 「あのときは私が羽根のように軽かったおかげで、人間が軽い阿良々木君でも無様に押しつぶされることなく受け止められたわけだけれど」 いやあの高さから人が落ちてきたらどんな重厚な人間でもひとたまりもねぇよ。お前が軽かったのは事実だが。 「今でも軽いけど」 いやまあ、もちろん当時の軽さとは別の意味で、普通に女子として体重が軽いと言いたいのだろう。 ちなみに僕はお前に返されるはずだった体重を一時的に請け負ったこともあるから、 僕の体重と当時お前が言っていた怪異絡みの体重から、本来のそれを逆算できるんだぜ? 「!」 なんか飛んだ!僕の頬をかすめてなんか飛んだ!後ろで何かが壁に刺さった音も聞こえたが、身体が固まって振り返ることができない! いや実際軽いほうだとは思うよ?女子をスペックで計るようなことはしないし!ああもう重みのことは考えないからおこらないでひたぎさん! 「そのお姫様抱っこのとき」 戦場ヶ原は重みの話はこれで終わり、とでも言うように話を変える。いや戻したのか 「脇から伸ばした手で私のおっぱいに触れたでしょう」 「べつにね、付き合っている彼女の胸に触りたいというのは、男子高校生として当然の欲望だし、 彼女がこんなわがままボディの持ち主となればなおさらだわ。でも本人に黙って、というのはどうなのかしら。 それにあのときはまだ付き合っていなかったわけだし」 「いやだから触ってないって。背中から受け止めて胸まで届くほど僕の指は長くねぇよ」 それこそ上腕に体重を乗せて抱え込むように抱いたなら、指の長さなんか関係なく届くんだろうけどな。あのときはほぼ前腕で支えてたから。 まったく戦場ヶ原が軽かったからできた芸当である。 「童貞の阿良々木君は知らないかもしれないけれど、女性の胸というのは仰向けだと左右に広がるものなのよ。巨乳だと特にね」 「いや、それはノーブラ時の話だろう。あのときお前はブラしてたし、そこまでは広がらねぇだろ?」 ブラの着用・非着用による女性の胸の変化、特に挙動の変化については僕にも一家言ある。 大体巨乳というのは羽川レベルに達してから言ってもらおう。いや戦場ヶ原だって決して小さい方ではないのだが。 「・・・確かに羽川さんも触れていないと言っていたわね」 なら確実じゃないか。さすが公平なる羽川。羽川の言うことなら間違いは無い。なんでもは知らないが、知ってることは知ってるのだ。 「結論としては、阿良々木君は私の胸にも、羽川さんの胸に触れたことが無い」 いや・・・うーん、全く無いかというと、まあ、手で触れたわけではないけれど。 「まさか、あるの?」 かつてないような表情をした戦場ヶ原を前に、僕もどうしていいかわからない。 顔は青ざめ、見開いた目は僕ではないどこか遠くを見ているかのようだ。 「え?あの、戦場ヶ原さん?違うんだ、事故みたいなもんというか、手で触れたわけでもないし、 自転車で二人乗りしたときに背中に当たっていた、というだけで」 とにかく誤解を解こうと真実を話す。あれは羽川に憑いた怪異が蘇り、忍野に相談しに向かう道中のことだった。 「二人乗りなら私たちもしたでしょう」 少し落ちついてきたらしき戦場ヶ原に、僕は言う。 「お前は二人乗りでもほとんど僕に触れないだろ。羽川は安全のために、こう、密着するんだよ」 もちろんそれは重心を安定させるための行為であり、僕にも羽川にもやましい気持ちは全く無い。 わざわざ段差のある部分を選んで走行するようなことも全く無かった。 「でも、阿良々木君はオナニーときには、その羽川さんのおっぱいの感触を思い出すのでしょう」 「は?」 いつまでも同じ繰り返しギャグでは読者も飽きるだろうと、意識して変えてみた。 「聞こえなかったふりをして、私に何度もオナニーと言わせたいのね」 「いやいやいや、そうじゃなくて、突然オナニーとか出てくるからびっくりしたんだよ!」 僕には女子に淫語を言わせて喜ぶ趣味は無い! 「だから、阿良々木君だって健全・・・かはともかくやりたい盛りの男子高校生なわけだし、 家では猿のようにオナニーにふけって勉強も手につかないのでしょう?」 「僕は健全だし猿は神原に憑いた左手だし勉強は家でもしている!」 「でもオナニーもするのでしょう?」 そりゃ・・・しないとは言えないさ。 「そのとき、視覚は雑誌やビデオ、ネットから、あるいは唯一全裸を見た私の記憶で満たすとしても」 それはいいのか。 「触覚は、情報ソースがその羽川さんの記憶しかないのでしょう?」 まあ・・・正確には神原のに腕が当たったりもしたが、ノーブラで密着のインパクトは強いよな。 「いくら阿良々木君がたぎる欲望を私との妄想に向けようとしても、阿良々木君にとってリアルなのは羽川さんなのよね」 そ、そんなことはないよ?付き合ってる彼女が一番リアルに決まっているじゃないか。 「私の胸の感触を知ったら、私は阿良々木君にとって羽川さんよりリアルになれるのかしら」 「は?」 2回目だ。まだいける。 「阿良々木君に胸を揉まれれば、触られれば、当てれば、私は妄想の中でも阿良々木君といっしょにいられるのかしら」 「いや、あの戦場ヶ原、無理しなくていいんだぞ、そんなこと。そりゃあ僕だってそういう欲望はあるけど、 それは戦場ヶ原の心の整理がついてからでいいし、戦場ヶ原が必ずなんとかすると言ってくれたんだから僕は待てるさ」 「そう、阿良々木君が私を信じてくれているのはわかるの。だからこれは、私の中の焦燥をどうにかしたいだけ」 う、うーん、そういうことなら、戦場ヶ原自身が望むなら触っていい、のかな? いやでも本当に彼女自身の望みだと言えるか?弱みに付け込んでいる形にならないか? 「でもその、僕だって恋人と二人っきり、そういう状況でどこまで理性が持つかわからないぜ?」 そういう危惧もある。 「大丈夫。阿良々木君が私の決意を信じてくれたように、私は阿良々木君のヘタレさを信じるわ」 そんなとこ信じられても。でもまあ、彼女がここまで言ってくれるなら。 「でも、手で触られるのは、まだ怖い」 あ・・・そうなんだ。 「それは、あの下衆が最初にしてきたことだから」 これが、彼女の抱える問題だ。その下衆と、万一にも僕を重ねたくない。それは僕への愛ゆえの思いだろう。 僕だって、彼女の中でそんな下衆と重なりたくは無い。だから、待つ。彼女の心の準備ができる、そのときまで。 「でも、背中に当てることなら、できると思うの」 「えーと、つまり・・・」 繰り返しギャグはもう止めだ。つーか僕もテンパってきた。 「後ろを向いて、阿良々木君」 「それはその、そういうことですか?」 「なに、阿良々木君はこれから行うことを彼女に口させたいと、そういうこと。いいわよ聞かせてあげる。 あなたの目の前にいるこの欲情した淫乱メンヘル処女はね、これから童貞の彼氏に対して、 背中におっぱいを押し付けるだけという寸止めプレイで(;´Д`)ハァハァすることで、その屈折した欲望を満たしたいと、そう言ってるのよ。満足した?」 台詞の中に顔文字を入れるなよ。縦書きの原作じゃできないネタだぞ。 「で、その淫乱メンヘル処女を彼女に持った童貞豚野郎彼氏の阿良々木君は、 そんな寸止めプレイでたぎる欲望が満足できるかと切れて断ったあげく、 この家中にあるありとあらゆる文房具をその身に埋める方を選ぶのかいら? それともこの変態プレイに尻尾を振って期待に股間を膨らませつつ背中を差し出すのかしら?」 「そんなん一択じゃねぇか・・・」 だってそうだろう?戦場ヶ原が乳を当ててくれるんだぜ?他の選択肢なんて考慮に値しない。 後ろを向いた僕には、壁に突き刺さった定規が見えた。さっき飛んでったのはこれか。意外にひねりのないオチだったな。 「ところで戦場ヶ原」 「なに?」 いつもの平坦な声で、背後から返事が聞こえる。僕以上に緊張しているはずだと思うのだが。 それはともかく、実行する前に言っておかなければならないことがある。 「羽川はそのとき、ノーブラパジャマだった」 今の戦場ヶ原は、いつも一緒に勉強するときと同じような、清楚な私服である。 べつに重装備というわけじゃないが、パジャマほど柔らかくはないだろうし、もちろんブラだってしているだろう。 べつにだからどうというわけじゃないんだが、言わないのもフェアじゃない気がしたので言っておく。 「ちなみに僕もそのときは制服の夏服。つまりカッターシャツの下はなにも着ていなかった」 現在僕が着ているのは夏用のパーカー。薄手とはいえカッターシャツよりは厚い。一応アンダーも着ている。 「・・・脱ぎなさい」 イヤッホォウ(゚∀゚)! 思わず僕まで顔文字をつかってしまったが、字の文なのでセーフだ。 しかし僕は裸だとしたら、羽川のときを越える密着度合いになるんじゃないのか。 ここには僕の換えの服なんて無いわけだし。いや、薄手の戦場ヶ原の服を貸し出されるという可能性も? それはそれで、いや洗濯済みの上着じゃあなぁ。そこまで変態にはなれない。 ほぼ一瞬にして上半身を脱ぎ終わった僕に何の声もかからないということは、僕はこのままなのだろう。 重要なのは戦場ヶ原の服装だ。やはり羽川同様パジャマ?いや、ここは裸同士という可能性も! ゼロ距離である。肌と肌の何一つ遮るもののない密着!ああ、ついに僕は戦場ヶ原とひとつになれる・・・。 ていうか、今後ろで脱いでるんだよな、戦場ヶ原。少なくともブラは外しているだろう。 「あの、戦場ヶ原様」 「こんどは何かしら」 「そちらを見てもよろしいでしょうか」 「みたいの?」 「見たいです!童貞豚野郎彼氏の阿良々木暦は今猛烈に戦場ヶ原様のお姿を見たいです!」 例の戦場ヶ原の毒舌が始まって、許可をもらう前に着替えが終わってしまってはたまらないという思いが、 僕に先回りで自分への毒舌を言わせた。 「いいわよ」 イヤッホォウ(゚∀゚)!(2回目) まあ、あっさり許可が出たので予想はしておくべきだった。 「わたしの裸ならもう見てるでしょう」 壁の方に向かって正座したまま、裸の上半身をひねって後ろを見る僕に、 既に薄手のブラウスに着替え終えていた戦場ヶ原が言う。 「あのときは、裸を見た、ってことばっかり印象に残って、あんまり具体的なこと覚えてないんだよ」 童貞の悲しい性を告白させられる。くそ、羽川のパンツは一瞬でも4ページほど語りつくせるくらい焼きついたというのに、 なんで戦場ヶ原の裸は途中の会話を入れて1ページ程度なんだ! 映像としてもなめらかなおへそ周りの肌やくびれのライン、下乳あたりまでは思い出せるのに、 肝心のその上や下が思い出せない! 「そう、じゃあ阿良々木君が本当の意味で私の裸を見るのは、初体験のときと思っていいのね」 そ、それまでおあずけですか。いやまあ普通はそうなんだろうが。 いやしかし、この薄手のブラウスというのも中々・・・肌の色がすこし透けて見えるんじゃないか? もちろん下はノーブラ、胸のラインはおっぱい本来の自然な丸みを帯び、そして、その頂点には・・・これは錯覚か? ああくそ、戦場ヶ原の乳首の色は何色だった?思い出せ僕!お前は見ているはずだ! 畜生吸血鬼だったら脳をかき回してでも思い出しているのに! 「では、行くわよ」 「は、はい!」 近づいてくる戦場ヶ原に、再び背を向ける。いよいよだ。あのノーブラおっぱいが僕の背中に! 薄い生地越しに当たった乳房は、液体のように変形して僕の背中に密着した。 人肌というには少し熱く、液体のような柔らかさでありながら、それは確かな弾力を持ってその存在を僕に主張してくる。 そして、その中心に位置する突起。 「わかるかしら、阿良々木君、私の乳首が勃ってるの」 硬くしこり勃ったそれは熱さも周りより一段高く、つぼを刺激するように僕の背中を刺激してくる。 「そう、あなたの彼女は彼氏のズリネタのためと言って背中に乳房を押し付け、乳首をビンビンに尖らせている変態よ。 今だってこんな台詞を言って(;´Д`)ハァハァしているわ。そしてあなたはそんな彼女に変態寸止めプレイをされて、 彼女以上にビンビンに股間を尖らせているド変態なの」 なんでわかるんだ。いやわかるか。この状況で勃たない奴がいたらインポだよな。 「こういうとき、黙っていられると女は不安なのだけれど」 ああ、そういえば最初に裸を見たときも、なにか言いなさいと言われたな。 で「いい身体してるね、とか?」と言ったら一生童貞だと言われたんだっけ。 「・・・最高に気持ちいい」 「月並みね」 2敗目。どう言ったら正解なんだ?こういうの。 「でもわかるかしら?阿良々木君の言葉を聞いて、さっきより乳首が勃ったの」 確かに、その瞬間キュッと乳首がより押し付けられたような、乳房全体の量感も増したような気さえした。 「口ではああ言っても、身体は正直なものよね」 それは自分で言う台詞じゃない。 「そう。あなたの彼女は口では感じてないふりをしながら、彼氏の何気ない一言に乳首をおっ勃ててる淫乱よ。 まあ阿良々木君のようなヘタレ童貞と付き合ってあげられるのはこんな淫乱処女だけだけれど」 っていうか、それは単にツンデレが性の反応でもツンデレってるだけだよな。 じゃあこれはツンデレが意を決して素直になろうとしての告白か。 「愛してるよ」 「!」 またしても、まだこんな余地があったのかというくらい戦場ヶ原の乳首が、乳房が反応する。 背中にめり込むのではないかというくらい存在感を増し、乳首は尖り、それでいて全体あくまで柔らかい。 「この私が不意打ちを受けるとわね。腕を上げたわ。阿良々木君」 「べつにそんなつもりはなかったんだけどな。正直な気持ちを言ったまでだよ」 「くっ」 また戦場ヶ原が反応する。脈動と言っていいほどのものだが。 「それで、これ以上阿良々木君はどうして欲しいのかしら」 「え?どうって、いや、うん」 そりゃ満足したとは、股間のたぎるものの関係で言えないけど、現状ではこれ以上どうしようもないし、ここまで、なのか? 「確か、二人乗りのとき、だったわよね。だとしたら、道路に段差のあるところをあえて選ばないまでも、 進路にある段差をあえて避けないくらいのことは、あったのかしら?」 なんでこいつそこまで僕の思考をトレースできるんだよ! 「こんな風に、強弱をつけて弾力を楽しみたかったのかしら?」 ぽよん、ぽよんと乳房が背中にリズミカルに押し付けられる。押し付けられる一辺倒とは違った、 いわば「揺れ」と「押し付け」のコラボ!乳房の柔らかさが「揺れ」によって新たな境地を見せる。 そうか、揺れるってのは、揺り返しがあるんだね。 「それとも、こんなギリギリ感を楽しみたかったのかしら?」 こんどはギリギリ、触れるか触れないかで微かに動く。だがそれは頂点だけが接触するということであり、 単にギリギリという以上に乳首の存在に集中してしまい・・・。 「いっそこう?とにかく激しく楽しみたかった?」 一転、押し付けてきた乳房を上下にこすりつける!尖った乳首が爪のない指のように僕の背中をひっかき、 乳房は移動時には後方へとつぶれて広がりながら 方向転換時には逆へ向かうためぷるんとした弾力を魅せる! 「くああああああぁぁぁぁぁ!」 まあ、どれほど激しくされたところで、背中と乳房の愛撫で最後までいけるほど、僕たちは出来上がっていない。 結局戦場ヶ原の息が切れたところで、お開きとなった。 「トイレ、使っていいわよ」 「はい?」 本日5回目、だっけ? 「阿良々木君も一刻も早く今回の思い出を反芻して、溜まったものを吐き出したいでしょうし、 私もそうだから一旦阿良々木君には帰ってもらうのがいいのだろうけれど、 それでは行き来するだけでも結構な時間がかかるし、ただでさえ失われた勉強時間がもったいないわ」 「いやだからって彼女の家のトイレではしねぇよ!」 ていうかお前もするのかよ!・・・まあするか。あんだけのことしたら。 「え?じゃあここで?私、まだ見せ合いをするほど心の準備は・・・」 「しねぇよ!家に帰るまでくらい我慢できるよ!」 そんなこんなで本日の勉強を始めたわけだが、互いに悶々として手につかなかったのは言うまでも無い。 戻る
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するがローズ⑥ すべては夢だと思いたい。 いやそれは夢でないからそう思えるのであるのだから本来夢であるなら夢を夢と して意識してみることなどできるはずもなくてそれを前提として現と夢は区別さ れるべきであって断じてそれが実現されるべきでは― そこには、上の口をかわいい後輩に汚され、18年間育ててきた男のピストルを彼 女に咥えられる童貞力満載の男子高校生の姿があった。 ていうか、僕だった。 「上から神原が刺激して、下の私が受け止める、まさにコンビネーションプレイ だと言えるわね」 「またプレイにつけてうまいこと言おうとしてる!」 「阿良々木くん、ひたぎさんに座布団一枚」 「この状態でどうやって持ってくるんだよ!」 ていうか自分で座布団頼むなよ! 状況を整理しよう。 今、僕は神原の部屋で手足を蔓で縛られズボンを下げられ屹立した中華キャノン を剥き出しにし上から神原に大人のキスをされ、下から戦場ヶ原にシャッツオを 咥えられている。 「ちなみにカベシャッツオというのも存在するぞ阿良々木先輩」 「…もう何読まれても驚けねぇよ…」 僕にも欲しい、テレパシー。 「ではそんなところで、神原、上から始めなさい。私は様子を見て下から加勢す るから」 「承知!阿良々木先輩のバベルの塔が建造できるよう精一杯努力させていただくぞ 戦場ヶ原先輩!」 「僕の家はよろず屋じゃない!」 いや、妹二人なら、そういうことをしてなくもないが…。 というかあいつら、本職は何なんだよ。 「―では、始めるぞ―」 刹那、二人の唇が重なり合う。 神原は口の中でも僕を激しく求めてくる。 僕も出来る限りそれに答えようと、舌を神原に絡ませる。 「んんっ…んっ…!」 神原の舌が口腔の中を縦横無尽に駆け巡る。 それを拙いながらも必死で追いかける僕。 まさに協奏曲、追いかけるフーガ。 二人の口内にオーケストラの音色が響き渡る― いつしか、口腔内では僕と神原のコンサートが始まって― 「見れば見るほどイライラとしてくるものね、人に自分の所有物を目の前でいい ようにされるというのは」 僕は所有物扱いかよ! ―と言いたかったが、口は神原にふさがれていた。 「私もこのイライラと性欲を解消したいから、そろそろ始めます」 イライラと性欲を同列に並べちゃった! 「いや違うわね、始めさせて…くれませんか…始めてあげても…いいのよ…始め て…みましょう」 また語尾で悩んでる! 「―ではいくわよ、阿良々木くん」 既に神原の上での攻勢によって屹立していた僕のソレ、その先端に戦場ヶ原が舌 を這わす。 その舌づかいと刺激は何とも繊細で、彼女らしさに満ち溢れていた。 こんな所でも戦場ヶ原らしさを感じるなんて――ああ、これがよく言う『感じる 』ってヤツなのか。 だとしたら、それはとても的を射た表現だと僕は感じる。 ここまで性を突き詰めてしまえば、火憐ちゃんが歯磨きで絶頂に達した理由がわ かる気が―。 ―じゅるっ、ぺるっ、ろじゅっ― そんなことを考えている間にも、上でも下でも僕を快楽の海にに沈める工程はつ つがなく行われていた。 沈むは快楽、浮かぶも快楽。 同じ楽なら沈まにゃ損。 「結構時間がたった気がするけど―まだ本格的には来ないわね阿良々木くん」 ―いや、実は結構限界近いです、はい。 理性のジークフリート線が力強い粘りを見せてくれているだけで、各所で前線に 綻びが出ています、はい。 「上は大丈夫そうだから―そうね、下をもっと過激にしましょう」 と言って戦場ヶ原が僕のモノをその口に咥える。 ―ヤバい、超過激。過激派襲来。 僕の股間の安田講堂がお祭り状態にっ! 嗚呼っ!学生運動! ―じゅる、ずずっ、れろっ― 戦場ヶ原が僕の先にちろちろと舌を這わす。 先だけでは我慢出来なくなったようで、あの手この手を使い僕の発射を早めよう とする。 いつだったか言ってた、加速装置を使うかのように。 「たしか…ココを刺激すれば早くなるのよね?神原」 「ひゃい?らりかり、ろろをしへきるれりゃ…」 「いいのよ神原。わざわざ阿良々木くんと気持ち良くなる過程を止めてまで私の 言葉に答えなくとも」 「…ひゃい」 再び黙り込み、口に専念する神原。 上のコンサートホールは、再び演奏を始めると― ―とかゆっくりモノローグ語ってる場合じゃねえ! もう!もう下が気持ち良くて気持ち良くて! 理性が!理性がフライングダッチマンで! 我慢しろ僕!我慢だ我慢だガマン汁! こんなところで出すわけには― 「阿良々木くん、もしかして『出す』ことを恥ずかしく思ってない?」 「!」 僕の表情が歪んだのを知ってか知らずか、さらに言葉を続ける戦場ヶ原。 「私も神原も、『阿良々木くんの貞操を奪う』という行為に及んでいるこの時点 に至るまでに沢山の羞恥心の壁を越えてきたのよ。それに対して、自分を少しも さらけ出さずにひたすら自己防衛に走るような弱虫な人を相手にしていたらどう 思うかしら?」 それは―確かに、至極筋の通った話かもしれない。 「第一、私はヘタレな阿良々木くんを好きになったのであって、卑怯でズルい阿 良々木くんなんて告白しようとも思わないわ。いや、むしろ視界に入れたくもな いくらい」 そこまで差があるのかよ! ていうかその藤木くん状態はヘタレと何か差があるのか!? もういい!我慢の限界だ!それならお前の口腔内に溢れるくらい出して― 「それを待ってたのよ、私は。神原!」 「ひょうひ!」 その刹那、神原の蔓が僕の下半身(主にザ・タワー)に絡みつく! 「うあっ!」 神原の蔓がそのグリップ力を最大限に活用し、僕のモノを上下に振動させる! 棘の有効活用法を見出だしてる! 「そうよ神原、もっと激しくしていいわ。あとそろそろ唇を離してもいいのよ」 「ひゃい…戦場ヶ原先輩」 やっとまともな呼吸が出来たからか、それともこのシチュに興奮しているからか 、神原は全身を火照らせ、肩で息をしていた。 その間にも、僕の股間は激しく揺さぶられ、秒読み段階に突入。 「やめろお前ら!このままだと―」 「 出 る ん で し ょ う ? 」 「えっ…まあ…そうだけ…はうあっ!?」 神原の蔓が僕の棒を突然締め付ける。 「いいのよ阿良々木くん、出そうになったら、こうやって、焦らして焦らして爆 発直前まで貯めさせてあげるわ」 「ちょっと!そんな事―痛っ!」 「おや、少し締め付けが強すぎたようだな。しかし、出させないためにはこれく らいの力が」 「やめろ!千切れる!18年間絶えず苦楽を共にしてきた相棒が悲鳴をあげてる!」 由緒ある阿良々木家の家名断絶が秒読み段階に! 「『棒』つながりなんて、阿良々木くんもうまいことを言うのね、神原、発射1回 。」 「座布団じゃないっ!?」 「承知したが戦場ヶ原先輩、流石に仮にも男の子であるらぎ子ちゃんに空射ちさ せるのはなんというか…」 「心配しなくていいのよ、神原。全て口で受け止めるから」 ―衝撃の発言。 あの生コンのような貞操観念はどこへ消えた。 お父さん、あなたの娘ひたぎは今まさに彼氏に無理矢理フェラして出させて飲み 干すという下手な性行為よりもよっぽどエロティシズムに溢れる行為をしようと しています―。 「私は!私の分の阿良々木先輩は!?」 「突っ込むのはソコかよ!」 「え、阿良々木くんがアソコに突っ込みたいって?」 「大いに聞き違いだよ!」 てか、そもそもこの全身捕縛状態じゃ無理だから! 「それはまだ駄目ね。私の心の準備ができていないから」 生コン貞操観念、復活。 お父さん、あなたの娘ひたぎは『ある程度』立派に育ちました―。 「もし今そんなことをしたら――私が、阿良々木くんを嫌いになってしまうかもし れない。それは私が一番恐れていることだから、まだ駄目としか言えない―」 その通りだ。 戦場ヶ原にとって、母親に関する出来事は未だ心の多くを占める。 それこそ、体重の9割を奪われる程に。 そんな彼女の心に、僕は干渉することはできないし、する資格もない。 もし無理にでも干渉しようとするなら、それはより一層彼女を傷つける事になる し、それは傲慢というものだ。 だから、これは彼女の中での自己解決を待つしかない、それが何年かかろうとも 待ち続けて―。 それが、「人を愛する」ことの業なのだと僕は思う。 「―それに、『おあずけ』を受けている阿良々木くんの顔、とても虐め潰し甲斐 があるから」 「なんかしみじみモノローグ語って損した!」 そもそも何なんだよ、「虐め潰す」って。 「じゃあ行くわよ、阿良々木くん、それと神原」 「…わかった」 「承知した」 再び、神原の蔓が激しく上下に動き出した。 そのテクニックはまさに甘言褒舌、動きだけで神原を感じられるほどだった。 揺さぶるような激しさと、相反する快楽の融合。 それでいて寸分のスキもない、快楽に満ち溢れた動作。 気を抜いたら、それだけでイッてしまいそうで― 「あむっ」 戦場ヶ原が再び先端を咥える。 器用に舌で刺激され、僕のアソコはギンギンにそそり立っている。 こちらは普段の暴言毒舌とは反対、甘く繊細な動きが伝わってくる。 どこまでも甘い旋律と、どこまでも激しい伴奏。調べはまさに協奏曲のよう。 そんなWコンボの中で、童貞である僕が長く堪えれるわけがない。 頭は沸騰、欲望は迷走、股間は暴走の三拍子。 まさに、僕の青春のリビドーを具現化したものが発射されようとしていた。 「―戦場ヶ原っ!そろ―そろっ!」 もうっ―溢れ出して―しまうっ― 「はーいいらっしゃい阿良々木くん。私 の 中 に 。」 「あっ―あっ――アアッ―――――――――っ!」 射精した。 戦場ヶ原の口内に射精した。 自分でも一回にしては信じられない位の量に驚く。 本で読んだ「一升の精液」というのも、あながち嘘ではないのかもしれない。 僕の白濁の液体は、戦場ヶ原の口から溢れ出しただけでは飽き足らず、顔や鎖骨 、服に畳まで汚していって― 「げふっ―!がふっ!ごふっ――」 「せっ…戦場ヶ原ッ…大丈夫か?」 大量の液体を一度に浴び、狼狽の表情を隠せない戦場ヶ原。 口元からは、白い液体が溢れ出していた。 「んっ…んんっ…」 僕から離れ、口に精液を含んだままおもむろに立ち上がる戦場ヶ原。 呼吸に合わせ、精液が泡を作る。 「おい戦場ヶ原、そろそろ飲むか吐くかしないと息が―」 続かない。 言おうと思ったが、その必要はなかった。 それは僕の視野が狭くなっていたのかもしれない。 だが、ここにいる人物が僕と戦場ヶ原だけでないことを考えれば、その行動にも 誰しも納得がいっただろう。 それほどまでに、この時の僕の脳内は沸騰していたのだろうか。 「―かん…ばるっ……あららぎ…くんのっ…!!」 「はいっ…!」 戦場ヶ原と神原は、キスをした。 『するがローズ07』へ 戻る
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こよみランタン④ PM6 30 下駄箱→校門 そんなこんでな一頓着ありつつ、僕らは下駄箱に差し掛かっていた。 神原は家で本の続きが読みたいらしく、一足早く帰っていったので、今は戦場ヶ 原と二人きり。 気を効かせてくれたのだろうか。 だとしたら、有り難く思うべきなのだろうが、あんな事があった手前、やはり戦 場ヶ原とは話しにくい。 ふと戦場ヶ原が、思い出したように呟く。 「あらいけない」 「どうした?忘れ物か戦場ヶ原」 「ええ、ちょっと試作型対人用ビームホチキスを教室に」 「嫌な忘れ物だ!」 大体何でビーム兵器が実用化されている。 お前は連邦軍の白い悪魔かよ。 「いや、確か同じく対人用全自動ノコギリ『CS-78-1』だったかしら」 「それじゃただの殺人チェーンソーじゃないか!」 しかもなんだよその形式番号! 今度はプロトタイプかよ。 だとしたら世界の物凄い悪意と歪みを感じる。 …ちなみに、ホッケーマスクがチェーンソーを使ったという事実は一切なく、本 来は『悪魔のいけにえ』という映画のキャラクター、レザーフェィスという奴の 得物だそうだ。 ていうか戦場ヶ原、どうやったらそんなモノを学校に持ち込める! 「じゃあ忘れ物を取ってくるから、先に校門の前で待っててくれるかしら阿良々 木くん」 「…ああわかったよ、お言葉に甘えて、のんびりしてくるさ。」 そして、校門前の横断歩道。 特にすることもない僕はガードレールに腰掛け、さっきの怪異のことを考えてい た。 偽物の僕? 何の伝承? 何の怪異? 駄目だ、何も思いつかない。 誰かに聞いてみるか。 頭の中で思い浮かぶ人物。 アロハ親父。 真っ黒詐欺師。 見た目幼女。 ……いや、やっぱり相談するのは止めよう。 ロクな目にあいそうにない。 しかし、僕だけの頭脳では心もとない。 すると、やはり――― ――と考えていると、横断歩道の向こうに、見慣れた巨乳と三つ編にメガネの委 員長が登場。 時間はともかく、なぜ学校の前を散歩しているのだろうか気になったが、別に聞 く程のことでもない。 それと周りを何か気にしているようで、オドオドとした仕種。 「おーい、羽川ー」 声をかけてみる。 こちらに気づく羽川。 その顔は、みるみるうちに真っ赤へと―――。 信号の方は青になった。 信号は青に。 羽川は赤に。 その羽川が、横断歩道の向こうから自慢の巨乳を揺らして走ってくる。 歩みに合わせて揺れる双房。 たふん、たふん、と上下に動く。 いい、すごくいい。 美しいラインと絶妙な振動のハーモニー。 重なり合う曲線の芸術が僕の視線を奪う。 目の保養に最適。 まさに精神安定芸術。 美しい立体から生み出される精神の平面。 揺れる胸の一挙一動に、僕の視線が釘付けになる。 一日中見ても飽きない。 一日中見れたらそれこそ― 「ねえ…阿良々木くん…?」 「ん?どうした羽川?顔、そんな真っ赤にして」 「どうしたって…それは…」 「それは?」 「さっきあんなことを私にしたのに…その平然とした態度は…どうかと思うよ」 「いや、別に普通の態度だと」 「それに……続き、してくれないの?」 「続き?何の続きだ?」 いったい何のことだろうか。 今日羽川と最後に会ったのは掃除の時間。 そこからは顔を会わせてないし、それ以前にも何らかの変わったアクションをし たわけでもない。 いったい羽川は何を――― 「―あれだけやって途中で逃げるなんて、阿良々木くんのクセに生意気だぞ?」 「だから何だって…」 ――途中まで? いったい僕は何をしたというんだ。 羽川の顔を真っ赤にするようなことをして、「はい忘れました」となることなん てまずない。 いや、絶対ないと言い切ってもいい。 しかもそれを途中で放棄…はしそうな気がする。 笑えない話だ。 末代までの恥だ。 末代からこそ呪われそうだ。 「今なら…続き…しても…いいよっ…」 顔を赤らめ、盛んに肩で息をする羽川。 その右手はスカートの裾をたくし上げ― 「ちょっと待て羽川!僕は何のことだか――」 わからない? いったい――羽川は何を話している? まさか、春休みのことで? それとも、クリリン…いや、「いつでも好きな時に好きなだけ私の胸に触ってい いチケット」のことか? 疑問が頭を駆け巡る。 目の前にはスカートをたくし上げる羽川。 脳内では羽川に関する記憶の一斉検索。 見つからない。 見つからない。 どこをどう探しても見つからない。 この時僕の頭を脳内メイカーで見たら、きっと「羽川」の二文字に満ち溢れてい ただろう。 だが、次に僕が聞いた言葉は、その脳内を真っ白なキャンパスに戻すくらい衝撃 的で―― 「―私のおっぱいをあれだけ吸っておいて、事後処理もなしに逃げ出すのはどう かと――思うよ?」 え? 羽川さん、何をおっしゃいます? 僕は先程まで教室で戦場ヶ原と楽しく談笑を― 「だーかーら!私の自慢のおっぱいをちゅうちゅうしておいて『何のこと』はヒ ドいと思うよ!阿良々木くん」 ゑ? 疑う。 自らの耳を疑う。 二度も疑う。 ―親父でもないのに。 そして、 認めたくない真実。 表情から読み取れる確信 沈黙。 沈黙。 ただ沈黙。 二人の間に広がる沈黙の海。 そして―――――――――――――――――叫んだ。 「うえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」 次囘ニ續 戻る